2013年04月13日
落ち葉のキオク
昔
まだ小さかった頃
一家総出、親戚も一緒に
山へ赤土や腐葉土を取りにいった
軽トラックと乗用車に便乗して
山道をガタゴトと
わたしと弟と従姉妹のおねえちゃんは
山へ入ると軽トラックの荷台に乗りうつって
山道をガタゴトガタゴト
その荷台から見る景色はいつかみた絵本の世界のように見えて
ガタゴトガタゴト
飴玉をひとつ
口にほうりこんで
ガタゴトガタゴト
風が顔にあたって
頭の上に屋根はなく
木の葉の間から陽がちらちらと
影と交互にやってくる
笹の葉で小船を作ったり
笛を作って遊んだ
山から湧き出る山水は冷たく
手ですくってもすくっても次々と流れてきて絶えることはなかった
作業する大人たちの横で
わたしはその土を何に使うのか
そんなことをふと思わないでもなかったが
木の葉や草を摘んでまわるのに一生懸命で
大人たちの汗の意味を深く考えるまでもない子どもだった
大人たちは腐葉土を軽トラックの荷台にたんまり積み込むと
それをブルーシートでやさしく包んでいた
ぽんぽんに膨らんだ荷台を後ろの乗用車から眺めながら
日の暮れてゆく山道を
ガタゴトガタゴト
いつしか眠ってしまい
家に着いたときはもう夜だった
その晩
お風呂場で
ザーとかけ湯をした瞬間
山の土、落ち葉のにおいが
ふわっとやってきて
お風呂場の窓からすうっと逃げていったのを
今思い出した
おぼろげな記憶
Posted by 女神ちゃん at 21:28│Comments(0)
│ふよこのつぶやき